賃貸お部屋探しガイド
1.スケジュールと予算
スケジュール
まず入居までの大体のスケジュールを立てよう。物件探しに約1カ月、入居申し込みから
契約・引越し完了まで2週間~1カ月かかるのが一般的。これを目安に、早めに準備に取
りかかれば、余裕をもって住まい探しができる。
現在の住まいが賃貸住宅なら、早めに解約・退去の取り決めを確認しておくのも重要。
解約は退去予定日の1カ月前までに申し出るのが一般的だが、住まいを借りたときの契約
書に目を通しておこう。
希望条件と予算
まず、希望の沿線・エリア、間取り、家賃を検討します。全ての希望を満たしてくれる物
件には、なかなか巡り合えないのも現実なので、条件に優先順位をつけるのがコツです。
家賃の月額は、手取り収入の30~40%ぐらいに抑えるのが賢明。この下の表で、新生
活スタートに必要なお金の目安を把握して、無理のない住まい選びをして下さい。
●入居までにかかるお金 ( 一般例 )
< 契約時 >
礼金
家主に支払われるお礼の意味で、家賃の1カ月分が一般的。
敷金と違って退去時に返還されない。
敷金
家主に預けるお金で、家賃の2~3カ月分が一般的。退去時に預けた敷金から部屋の原状回復やその他精算が必要な費用を差し引いて残金が返還されることが多い。
保証金
敷金ではなく「保証金」の名目で納めることもある。この場合、契約時に取り決めた一定金額 ( 償却費という ) を差し引いた残金が退去時に返還される。
仲介手数料
物件を仲介してくれた不動産会社に対して支払う報酬としてのお金 ( 下のコラム参照 )。
駐車場の敷金・礼金
住まいの契約には含まれていない駐車場を借りる場合、その敷金・礼金・仲介手数料などが必要なケースがある。
日割り家賃
契約時にその月の残り日数分の家賃を日割りで支払う。
管理費(共益費)
共用施設 ( 玄関、廊下、階段、エレベータ、駐車場・駐輪場、ゴミ収集場など ) の維持・管理にあてられるもので、共益費ともいう。家賃と一緒に毎月支払うが、契約時には、これも日割りで支払うのが一般的。
火災保険料
入居者に火災保険への加入を義務づけているケースが多い ( 目安は、2年間で 1 ~ 2.5 万円程度 )。手続きは不動産会社が代行してくれます。
カギの付け替え料
防犯のために、入居者が替わると部屋のカギを取り替えるケースが多い。その費用負担が新たな入居者に求められることがあります。
< 引越し時や入居時 >
引越し代
荷物の量、運ぶ距離、出し入れの難易度などによって、引越し費用も異なる。複数の引越し会社から見積もりを取って比較検討してみよう。
家電製品・家具などの購入費
新たに購入するもの、買い替えるもののリストを作成しよう。
入居後の家賃の支払い
月々の家賃の支払いは、月末に翌月分の家賃を支払う「前金制度」が一般的。
※ 仲介手数料とは?
不動産会社に物件探しを依頼し、気に入った物件が見つかって賃貸借契約を結んだ際、そ
の報酬として不動産会社に支払うのが仲介手数料。
法律 ( 宅地建物取引業法 ) では、仲介手数料は「賃料の1カ月分以内」と定められている。
また仲介手数料は、敷金や礼金と異なり、消費税がかかることに注意。なお契約を行う不
動産会社が物件の貸主である場合、仲介手数料は必要ない。
● 新生活スタートに必要なお金の目安
2.情報収集~ご来店
● 情報収集
インターネットや情報誌で情報収集をします。希望の物件がみつかれば、お電話をいただ
き内覧の日時を決めます。
お問い合わせしても既に物件が決まっていた場合でも希望の条件でお探ししますので、
電話または、メールにて条件等をご指定ください。(メールでの物件リクエスト登録無料)
●ご来店
物件リクエストにご記入。物件の詳しい資料・リクエストした内容での条件にあった物件
の提示をさせて頂きます。ご希望の物件を担当者と一緒に絞り込みましょう。
(内覧物件は3件程度がベストです。)
不動産会社は住まい探しの重要なパートナー。信頼できる不動産会社や営業担当者に出会
えたら、希望に合った住まい探しがスムーズに行える。
● 不動産会社を知る
不動産会社にはさまざまなタイプがあり、1つの沿線・エリアに強い地元密着型のお店も
あれば、広い支店網と情報力を特色とするお店もある。また賃貸アパートに強いお店、
ファミリー物件が得意なお店など、得意分野もある。
取り扱い物件の傾向や、各社のプロフィールをチェックしてみよう。
● 不動産会社を訪問する
希望条件に合う物件をピックアップしたら、物件を取り扱っている不動産会社に連絡を取
って、訪問することになる。
お店に着いたら、希望条件を伝え、物件の資料を見せてもらったり、下見に出かけるのが
一般的な流れだ。この時、その不動産会社の雰囲気や営業担当者の応対も、お店選びのポ
イントだ。信頼できる会社や担当者なら、契約・入居後も安心。また、もしも希望条件に
合う別の物件を探してくれるはずだ。
3.物件の内覧
「これは」という物件が見つかったら、いよいよ下見で実際の部屋を確認。不明点や確認
しておきたい事は残さず不動産会社に確認するようにしよう。
また、周辺環境のチェックも忘れずに。
間取り図の上で希望条件を満たしているように見えても、下見は絶対に必要だ。
以下の「物件」と「周辺環境」のチェックポイントにそって、自分の目で冷静に確かめよう。
また、1日の下見は数件まで。一度に多くの物件を見ると、混乱のもとだ。
● 物件-(1) 室内のチェックポイント
1 室内
広さや天井の高さなど、希望にあったスペースか?
汚れはないか? 汚れている場合には、いつまでにどの程度まで修理・改修されるか?
家具や家電の設置に十分なスペースがあるか?
玄関、キッチン、バス、トイレの使い勝手・動きやすさは?
収納スペースは十分にあるか?
備え付けの設備などは、資料どおりか?
2 設備
各室のコンセント、テレビアンテナ、電話端子の位置と数 キッチン、
洗面台など水回りの使い勝手は?
エアコン、給湯設備などの設備はすぐに使える状態にあるか?
電気のアンペア数は十分か?
3 住み心地
日当たりや風通しはいいか? 何時ごろまで日が当たるか?
周辺からのぞかれたり、窓を開けておけないような環境ではないか?
騒音や振動はどうか?
● 物件-(2) 建物のチェックポイント
1 共用施設
エントランス、廊下など共用部分はキチンと管理されているか?
駐車場や駐輪場の位置と使いやすさは? ルールを守って利用されているか?
敷地内や建物の周辺に危険となるような場所はないか?
ゴミ置き場の有無と、管理・清掃状況はどうか?
2 その他
建物内にはどんな人が生活しているか?
● 周辺環境のチェックポイント
1 交通アクセス
最寄りの駅・バス停から物件までの所要時間
通勤・通学に利用する電車やバスの本数と平均所要時間、始発・終車の時間、混雑度
車や自転車を利用する場合は、近隣の駐車場や駅周辺の駐輪場の有無と空き状況
2 生活環境
最寄り駅から物件までの間に危険な場所や、交通量の非常に多い場所はないか?
物件から利用しやすい距離に役所、公園、病院、郵便局などはあるか?
周辺のスーパーやコンビニの数は? 営業日、営業時間、品ぞろえ、配達サービスなどはどうか?
※ 建築中や入居者が住んでいる場合
建築中で部屋の中が見られない場合は、図面を見せてもらい、広さ・間取り・設備・入居
可能日などの説明を受ける。
完成が遅れて入居日がずれ込むケースもあるので、入居できる日を確認するとともに、
最悪の場合入居日が、ずれても良い状況にしておきましょう。
入居者がまだ住んでいる物件の場合は、同タイプの空き部屋を見せてもらいましょう。
これが可能なら、借りたい住まいを下見するのに近い結果が得られる。
(設備等の差異は、あります。)
4.入居の申し込み
物件を決めたら、不動産会社に入居の申し込みをする。入居申込書を提出して家主の入居
審査を受け審査にパスしたら、いよいよ契約の準備にかかろう。
下見の結果、気に入った物件が見つかったら、さっそく不動産会社に入居の意思を伝え、
入居の申し込みとなる。
申し込みから契約前までの流れを把握しよう。
※ 預かり金・申込金とは?
入居を申し込むと、入居の意志を示すために「預り金」「申込金」「申込証拠金」などの
名目で数千円~賃料の1カ月ぐらいのお金を不動産会社に預けることがある。
これは「借りたい」という意思表示を行ったに過ぎず、契約の優先権を確保したわけでは
ないことに注意しよう。つまり預り金を不動産会社に預けても、家主の承諾がなければ契
約は成立していないとみなされるのだ。
もっとも、契約の成立・不成立にかかわらず、預り金は返還されるものだが、念のためそ
のことを明記した預り証を受け取ろう。
ただし、軽はずみなキャンセルは不動産会社に迷惑をかけることになるので、申し込みは
くれぐれも慎重に!
契約までに用意する書類など
● 入居者の住民票
入居者の現在の住所などを確認するために必要となる。住民登録をしてある市区町
村役場または、その出張所で交付してもらえるので、契約日の数日前までには準備
しておこう。
● 入居者の収入を証明できる書類
源泉徴収票か住民課税証明書、または確定申告の写しなど。それらが用意できない
ときは毎月の給与明細書でも可能な場合があるので確認を。
学生の場合は、保護者の収入を証明できる書類が必要なケースもある。
● 入居者の印鑑
契約書の押印に必要なので、契約の当日には忘れないこと。実印 ( 市区町村役場に
登録した印鑑 ) が必要かどうか事前に不動産会社に確認し、実印でなくてもよい場
合は、銀行口座の登録印鑑などを使えばよい。
● 保証人
賃貸物件に入居するときには、ほとんどの場合、保証人を立てることが条件になっ
ている ( 保証会社の利用が可能な場合もある )。
入居者の身元保証や万一の場合の損害賠償などを肩代わりする必要があるため、
以下のような条件に当てはまる人となる。
a. 安定した収入がある人
b. 入居者の親や近親者・親類
c. 賃貸物件所在地の近県に在住の人なお、保証人は連帯保証人となるケースが多い。
● 保証人に関する書類など
保証人になることを承諾した書類 ( 「同意書」「連帯保証契約書」などと呼ばれる )
のほか、入居者同様に住民票や印鑑登録証明書、収入を証明できる書類なども必要
となるケースがある。
● 印鑑登録証明書
印鑑が、実印であることを証明する書類。市区町村役場またはその出張所で交付される。
※ 以上は一般的な例なので、あらかじめ不動産会社に必要な書類を確認しておこう。
5.「重要事項説明」で最終確認
入居者が契約書に署名・押印する前に、不動産会社では必ず「重要事項説明」を行う。
物件や契約の内容を、再度確認しよう。
● 十分な理解でトラブル防止
契約に先立って不動産会社から「重要事項説明」を受ける。
重要事項説明とは、宅地建物取引主任者が「重要事項説明書」を入居希望者に示して、物
件内容や契約内容を再度確認してもらい、トラブルを未然に防ごうというもの。宅地建物
取引業法で定められた大事な手続きなのだ。
この説明書には、賃貸物件の住所・構造・部屋の面積・間取り・家賃・家賃以外に支払う
お金 ( 敷金・礼金など ) の額・禁止事項などが記載されている。
また、水道・電気・ガス・排水などの一般的な設備のほかに、冷暖房・オートロック・
BS端子・ケーブルTVなどの付帯設備についても記載されている。
● 重要事項説明書は大切に保管
重要事項説明書は、契約書に署名・押印する前の最終チェックなので、不明点はその場で
必ず確認する。また重要事項説明書には、契約書に記載されていないことも書かれている
ので、必ず保管しておくこと。
6.内容をよく理解して契約
重要事項説明を受けて疑問点をなくし、納得したら、いよいよ契約を交わすことになる。
契約内容を十分理解した上で署名・押印すること。
下のチェック項目は、国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」の内容にそってまとめたもので
、ほとんどの契約書 ( 定期借家でない賃貸借契約書 ) に書かれた内容をカバーしている。
契約書の文面はわかりづらいかもしれませんが、内容は重要事項説明書と共通の部分が多い。
もし不明点があれば、不動産会社の人に質問してください。
●家賃の支払い方法
毎月の家賃をいつどんな方法で支払うかが記載されている。
家賃は、家主へ直接支払う ( 持参または振り込み ) 場合と、管理する不動産会社を経由し
て支払う場合とがある。このとき、管理費も一緒に払う。
●家賃の発生
家賃は、原則として、リフォームなどが行われ住まいが入居可能になった時点で、即、発
生する可能性があり、家賃の派生日 ( 契約開始日 ) は、契約書を取り交わす日と同日とは
限らない。自分が実際に入居できる日を十分に考慮しながら、いつから家賃が発生するこ
とになるのかを事前に必ず不動産会社と相談しておく必要がある。
●契約期間
従来の賃貸借契約では、2年間の契約期間が設定されていることが多い。この期間が満了
するとき、入居者は契約を更新するか終了させるか選ぶことができる。
●契約の更新
契約を更新するとき家賃とは別に更新料を支払うケースがある。その場合、契約書にその
旨が明記されているのが普通だ。一般的には更新時の新賃料の1カ月相当分を支払う。
●賃料などの改定
契約更新時に家賃ならびに管理費が改定されることも多い。
●禁止事項
「他人に迷惑を与える行為」といった一般的な事柄のほかに、「ペット禁止」「ピアノ禁
止」などと定められていれば入居者は従う義務がある。守らない場合は退去させられるこ
ともある。
●修繕費用の負担
入居後に部屋の設備などに不具合がおき、それが損耗等によるものであれば、修繕は家主
負担が一般的。ただし、入居者の故意または過失によるものであれば、入居者の費用負担
となる。
●契約の解除
入居者が契約書に記載されている事項に違反した場合、家主は契約を終了 ( 契約解除 ) さ
せることができる。
また、家主が契約書に記載されている内容に違反した場合は、入居者の側から契約を終了
させることができる場合もあるが、いずれも不動産会社にすぐ連絡しよう。
●契約の解約
契約期間の途中で、入居者のほうから契約を終了させる ( 契約の解約 ) 場合は、家主にあ
らかじめ解約の申し出をする必要があり、契約書にはその取り決めが記載されている。
退去予定日の1カ月以上前と定められていることが多いが、もし契約書に記載されていない
場合は、契約前に必ず不動産会社に確認しておこう。
●敷金の返還および保証金の償却
敷金は退去後に返還されるが、部屋に入居者の故意や過失による損傷や汚れなどがある場合
には、この敷金から修繕 ( 原状回復 ) 費用が精算され、残金が戻ってくることになる。
ただし、敷金以上に修繕などの費用がかかってしまった場合には、不足分を支払わなければ
ならない。敷金の扱いについて契約書に明記されていないときは、不動産会社に確認を求め
よう。また敷金ではなく保証金の場合は、必ず償却の有無と金額を確認しておこう。
●原状回復
入居者の通常の使用による損耗や経年変化に伴う部分は、一般的には家主が負担し、これを
除いた故意や過失による汚れ・破損の費用は入居者負担とするケースが多い。しかし物件に
よりケース・バイ・ケースなので、契約前に確認しよう。
契約を解除するには?
契約書に書かれている取り決めに従って、手紙や電話で家主に解約を申し出れば、解約できる。急な転勤の場合も、申し出た期日から契約書に定められた期日分の家賃を支払えば、解約は可能である。 解約したら、契約終了日までに引越しを済ませ、部屋を明け渡す。家賃は、契約終了日までの分を日割り計算で支払うことになる。
退去時の修繕費用の負担は?
国土交通省のまとめた民間賃貸住宅における退去時の原状回復に関するガイドラインによれば、「入居者が通常に使用していた程度の部屋の汚れや経年変化による設備の損耗などは、家主側が修繕費用を負担する。それ以外の、入居者の故意あるいは過失によって部屋を汚したり、壊したり、また勝手に造作を変えたりしたような場合には、入居者が負担する」という考え方を、一般的な基準としている。
退去時の敷金の返還は?
退去時には敷金を精算することになるが、未納の家賃があった場合や原状回復のために要した修繕費などが差し引かれて、退去後に返還される。返還額、返還日、返還方法については、退去日前までに確認しておきたい。通常、解約後1カ月後ぐらいに返還されることが多い。
未成年者の契約
未成年者 ( 20歳未満 ) が契約する場合は、親権者 ( 両親など ) の同意が必要だが、家主
によっては親権者 ( 両親など ) を契約者として契約することがある。この場合、不動産会
社によって契約方法や必要な書類などに違いがあるので、前もって確認しておく必要がある。
学生の場合は、学生証など本人の身分を証明できるものが必要で、また、遠く離れた実家の
両親などが保証人または契約者となる場合は、緊急時の連絡先 ( 近くに住む親類など ) を決
めておかなければならないこともあります。